「月に憑かれたピエロ」解説

2012年11月23日 (金)

月に憑かれたピエロ解説3

さて、今回で邦訳最後となりました。本公演ではお能が入るため、16、17、18曲目はカットし演奏されます。皆さん金沢、富山、東京の会場でお会いしましょう!

15、郷愁(ノスタルジア)

甘美な嘆き--クリスタルのため息が

イタリアの昔のパントマイムから 響いてくる

ピエロは木のように硬く

モダンでセンチメンタルになったことか

そしてそれは彼の心の砂漠を抜けて響く

全ての感覚を通してほのかに再び響く

甘美な嘆き--クリスタルのため息が

イタリアの昔のパントマイムから

そしてピエロは悲しそうな表情を忘れるのだ!

月の蒼褪めた炎の明かりをぬけ

光の海の洪水をぬけ--憧れは翔てゆく

勇敢に上へ向かって 故郷の空へ高く!

甘美な嘆き--クリスタルのため息が

19、セレナード

グロテスクな大きな弓で

ピエロはヴィオラを引っ掻く

こうのとりのように一本足で

彼は悲しげにピチカートをはじく

突然カッサンドルが近づき--腹をたて

この真夜中の名演奏家に

グロテスクな大きな弓で ピエロはヴィオラを引っ掻く

すると今度はヴィオラを投げ捨て
デリケートな左手で
禿頭の襟元を掴み
夢見心地で禿頭を弾く
グロテスクな大きな弓で

20、帰郷

月の光が舵で

睡蓮が船 それに乗り

ピエロは南へと向かう

良い追い風と共に

流れは低い声でつぶやく

そしてそっと小舟を揺らす

月の光が舵で

睡蓮が船

ベルガモへ 故郷へと
ピエロはただ帰る
もう東の方はほのかに明るい
緑の地平線

月の光が舵で

21、おお 懐かしい香りよ

おお 昔話の時代の懐かしい香りが

私の感覚をふたたび陶然たる心地にさせる

茶目っ気のある愚かな大群が

軽やかな空気をふるわせている

幸運を願う事は私を幸せにする

その喜びを 私は長い間卑しんでいた

おお 昔話の時代の懐かしい香りが

私の感覚をふたたび陶然たる心地にさせる

私はあらゆる憂鬱を吹き飛ばし
太陽の光が差し込む窓から
自由にそっと見つめる 愛する世界を
そして幸福が続く彼方を夢見る

おお 昔話の時代の懐かしい香りが

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2012年11月18日 (日)

月に憑かれたピエロ解説2

本日は第二部の7曲日本語訳をお届けします。

8、夜
暗い、黒い巨大な蛾が
太陽の輝きを殺した

一冊の封印された魔法の本は

水平線で安らぐ-沈黙して

失われた深さの煙の中から
香りが立ち上り、思い出を殺しながら
暗い、黒い巨大な蛾が
太陽の輝きを殺した

そして天から地上へと

重々しく羽ばたき降りてくる

目に見えない化け物達が

人々の心の上へと-

暗い、黒い巨大な蛾が

9、ピエロへの祈り

ピエロ!私の笑いを 忘れてしまった!

輝かしい面影は 消え失せた----消え失せた!

黒々と旗はなびく 私のマストの上に

ピエロ!私の笑いを 忘れてしまった!

おお 再び私に返してくれ 魂の獣医よ

詩の雪だるまよ 月の女神よ

ピエロ!私の笑いを!

 

10、盗み
赤い高貴なルビー

古(いにしえ)の栄光の血の雫が

棺のなかでまどろんでいる 墓場の下で

夜 彼の飲み友達と一緒に

ピエロはしたに降りてゆく 盗む為に

赤い高貴なルビー 古の栄光の血の雫を

ところが---髪の毛をさか立て

恐怖に蒼ざめてその場に立ちつくす

暗闇の中から 眼のように!

棺の中からじっと見ている

赤い高貴なルビーは

11、赤いミサ
残酷な聖餐に 黄金色に光り輝く中

蝋燭の揺れる光の中 祭壇へ近づいていく--ピエロ!

神に捧げられたその手で
司祭の服を引き裂く
残酷な聖餐に
黄金色に光り輝く中

祝福を与える身振りと共に

危惧する魂達に示す

血のしたたる赤い聖餅を

彼の心臓を--血まみれの指で-- 残酷な聖餐に

12、絞首台の歌

痩せ細った娼婦 長い首の女が

彼の最後の 恋人になるだろう

彼の脳みそに
突き刺さる 釘のように
痩せ細った娼婦
長い首の女が
松の木のように細く
首にはポニーテール
多淫な彼女は
悪党に抱きつく
痩せ細った娼婦!

13、打ち首

月、三日月の形の白刃 黒い絹のクッションの上に

怪奇な大きさで--下界を威嚇する 苦痛の闇夜を貫いて

ピエロは見当違いに 休みなく徘徊する
ギロッと上を凝視する 死の恐怖にかられながら
月は 三日月の形の白刃
黒い絹のクッションの上に

膝を震わせ
彼は急に昏倒する 彼は錯覚する:

それがすでに振り下ろされるのを

彼の罪深い首の上に
月、三日月の形の白刃

14、十字架
詩の数々は聖なる十字架だ

その上で詩人たちは沈黙したまま血を流す

禿鷹の無差別の一撃を受け 羽ばたく化け物の群れ!

肉体を貪り喰う剣
煌びやかな猩紅の血!
詩の数々は聖なる十字架だ
その上で詩人たちは沈黙したまま血を流す

頭は死に--カールした毛も硬直し-- 遠く

暴徒たちの喧噪が消えてゆく

ゆっくり沈んでゆく太陽 詩の数々は聖なる十字架だ

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