中嶋彰子のウィーン便り

2012年12月17日 (月)

中嶋彰子のウィーン便り10:企画を終えて

こんにちわ!長かったこの企画も全て終了し、今、ウィーンに戻っています。窓の外はクリスマス前のいつもの殺到的買い物客で混乱している様子。でも私はまだ公演後の余韻から離れたくなくない思いで、雪になったり、雨になったり、どんより薄暗くなってしまったウィーンの空を窓からぼーっと眺め、幼い頃、釧路でも冬はこんな光景よくあったな〜と思いつつ、冬の生活を静かに満喫しています。

これまでに多くの方にブログを見ていただき、金沢、高岡の公演はもちろん、最終公演の1800席と言うこの手の公演には巨大過ぎると恐れていた、すみだトリフォニーホールにも多くの方々が訪れてくださり、皆さんがそれぞれ努力をしてこの企画をフォローしてくださった事に心から厚くお礼申し上げます。
今回のブログに締めくくりとして、ネットに浮かんだ様々なコメントを寄せ集めました。抜粋したハイライト版です。どうぞご覧ください。まずは世界初演会場金沢の公演に来てくださったお一人のコメントです:ー

月、シェーンベルク、能 ― 次元を超える愉楽 …ですって。

お誘いを受けなければ行かなかったと思う… 不思議 不思議 不思議な新しい芸術形式 世界。

演出し、ピエロをされる中嶋彰子さんのご挨拶の一文を紹介しますと…

読んで居ても、私には何のことやら ポカーンの世界なわけですが……
ご一緒した方が、「中嶋彰子さんの歌唱力は素晴らしいのよ^^ シェーンベルクの音楽は無調の表現主義音楽で…」説明をして下さり、気持ち興味を抱いた感じ(笑)。

始まりの映像に心掴まれ、歌声に感心し、あっという間に時が流れちゃいました。

感想を聞かれても、感想を言える程の情報も持ち合わせていない私ですが、何となく 言わんとされた…

歌のパートは歌うのではなく、音に沿って「話す」と言う、歌唱によって語る物語だから、『能』の無いものをあるように あるものを無いように表現する、そのあたりの幻想感がクロスするところか(?)と。

この度が初演だったそうです。

今日は、富山県高岡文化ホールです。
金沢のお客様は、いま一つ どう反応して良いのか戸惑っているような…様子。  さてさてお隣りの高岡の反応は、どんなかな^^

新しい事にチャレンジするって、凄いエネルギーがいるだろうから、想いを実現した中嶋彰子さんに「頑張ってください。」と、エールを送ります。

公演後、4人で居酒屋に行き「あそこ ー だった方が良いんじゃない!?」「映像が良かった!」「あそこは要らないよね。」…勝手な事を言いあい、盛り上がった事が一番楽しかった記憶…な私(笑)。

知的な人って、魅力的だなぁ… 今さら無理だけど、思いましたねぇ。

公演後の会話の種になったようですね。とっても嬉しいです。次は安田功さんから許可を頂いたのでブログをペーストします。

夢幻能•月に憑かれたピエロ

今夜,錦糸町のすみだトリフォニーホールで『夢幻能・月に憑かれたピエロ』を観て来た。能とシェーンベルクの室内歌曲とのコラボレーションという,個性的な舞台だった。(略)

 

公演を観る前は,シェーンベルクの傑作を生で聴かれるのが楽しみだった。しかし,このパフォーマンスは,単なる室内歌曲の「演奏」ではなかった。ただ独りの登場人物による室内オペラと夢幻能との,パラレルワールド風音楽劇といった趣きだった。強烈に魅了されたのである。

シェーンベルクの『ピエロ』のアルベール・ジローの詞そのものは,思うに,19 世紀のロマン主義的紋切型が世紀末的不安のなかで腐り果てたような退廃でしかない。「目で飲む恍惚のワイン」,「純白の奇跡のバラ」,「水晶の小瓶を照らす幻想の光にみちた月」,「蒼ざめた洗濯女」,「蒼ざめた血」,「苦悩の聖母」,「太陽を覆う黒い巨大な蛾」,「血のしたたる残酷な聖餐」,「瘠せ細った娼婦」,「三日月の白刃」,「聖なる十字架としての詩」,エトセトラ,エトセトラ,は,そのようなわかり切った,ゴシックロマンスの道具立てのような「あ,あれか」式の,陳腐といってもよいモチーフ,イメージである。陳腐化した退廃ってちょっと滑稽ではないか? とはいえ,いまや紋切型になってしまったからこそ,私は江戸川乱歩と同様こういう「古典的」乱脈・紊乱をそれそのものとして酷愛しているのだけれど。

ところが,そこに,もの言わぬ月の美女,嫉妬に我知らず般若と化す狂女,老いさらばえて打ち捨てられる老姥,という三態の夢幻能・鬘物のキャラクターが対置されると,ほとんど無関係な表現様式なのに  このパラレルワールドの接点は花と小袖のみが媒介になっている  『ピエロ』の退廃的主人公が,日本的「狂」で異化されたような,独特の象徴的心理劇の主体として観る者に迫り来るように思われたのだった。月に見蕩れるピエロの狂気は月の精のような異界の美女への思慕と繋がり,絞首台の娼婦にピエロの抱く恐怖は般若の憎しみと嫉妬への戦慄に変じ,ピエロの望郷のノスタルジーは老いのために捨てられる運命にあるかつての絶世の美女の懐旧の情と交感する。月の美女が落としたバラを,ピエロが老姥に捧げようとする。こうしたメタ・フィクションが心憎かった。女の激情を秘めた一生を夢幻能という象徴的パラレルワールドとして『ピエロ』に裁ち入れることで,ピエロは恋をしたのだという新しいストーリーが生まれたのだ。かくしてシェーンベルクの『ピエロ』を夢幻的室内オペラとして楽しむことができたのである。

舞台(こういう言い方が相応しい)ではシェーンベルクの音楽と能楽の笛・鼓・謡が交互に進行するちょっと冒険的な演出があった。『ピエロ』のフルートと能楽の和笛とが呼び交すくだりは圧巻だった。和笛の心の強さ・気の鋭さがフルートと対照されると,身に,魂に,沁み入るようであった。西欧人で日本の楽器のなかで尺八に惚れ込む人は多いが,このパフォーマンスを観たら,能楽の笛に魅せられるに違いないと確信した。

今夜の舞台に大いに満足した。この DVD が発売されることを心から願うところである。それにしても,これは金沢,高岡に続く東京公演である。まず金沢から,そして演奏者がオーケストラ・アンサンブル金沢の団員,というところが極めて意味深長である。金沢という地がいかに文化レベルの高い都市であるかを雄弁に物語っている。シェーンベルクの室内歌曲を取上げること自体が商業的に無謀なのだ。しかも,大いなる藝術的実験を投下した出し物である。ある意味で東京よりも文化的に自由でかつ成熟しているようである。『ピエロ』の演奏も正確,艶やかで惚れ惚れした。この楽団の武満徹も絶品なので,ぜひフォローしてみていただきたい。

今夜の舞台に大いに満足した。この DVD が発売されることを心から願うところである。それにしても,これは金沢,高岡に続く東京公演である。まず金沢から,そして演奏者がオーケストラ・アンサンブル金沢の団員,というところが極めて意味深長である。金沢という地がいかに文化レベルの高い都市であるかを雄弁に物語っている。シェーンベルクの室内歌曲を取上げること自体が商業的に無謀なのだ。しかも,大いなる藝術的実験を投下した出し物である。ある意味で東京よりも文化的に自由でかつ成熟しているようである。『ピエロ』の演奏も正確,艶やかで惚れ惚れした。この楽団の武満徹も絶品なので,ぜひフォローしてみていただきたい。考えてみたら,昨年十一月に武満徹室内楽を聴いて以来,一年以上コンサートホールに足を運んでいなかった。近所のミューザ川崎コンサートホールが震災での天上崩落のためまだ再開できていないためか。私もどうもこのところ心に余裕がないようである。そこに十一月の末,なんと中嶋彰子さんその人がシェーンベルクの『ピエロ』に関する私のブログを読んで,メールでこのコンサートに誘ってくれたのである。十一月の霧と菊の彼方から声を聴いた気分になった。ブツブツ独り言・戯言ばかり書き連ねていても,ごくごくたまに,こういう身に余る幸せなことも起きるものである。

生の音楽は伝わるエネルギーが違いますよね、安田さん!頑張って来てくださったんですね。嬉しいです。是非これからもお元気で!

次は古田嶋久恵さんから許可を頂いて載せました。

hisae odashima/小田島久恵

@hisae_classical

東京在住のmusic writerです。クラシック、opera、ロック、ポップス、映画、ダンスについて書いています。『オペラティック! 女子的オペラ鑑賞のすすめ』(フィルムアート社)が2012年1月に発売されました(^o^)/ 表紙&本文中のイラストも本人によるもの。西洋占星術&タロットのライターも兼業。水瓶座。

tokyo JAPAN · h/夜の詩学 夢幻能「月に憑かれたピエロ」

シェーンベルクと能の出会い。この企画について初めて聞いたときは何とも意表を突かれたが
作品がこんこんと眠り続けながら待ち続けていたコラボレーションだったのかも知れない。
前衛と古典芸能を同時に舞台で上演する。
「月に憑かれたピエロ」は、東京のラフォルジュルネでも勅使川原三郎さんのダンスとの共演があり、
とても興味深いものだったが、この語りとも歌ともつかない不思議な世界と、「異」なるフォームのアートを溶接するには、もっと時間が必要だったかも知れない。
その意味で、この「能とシェーンベルクの融合」は、歌手の中嶋彰子さんが10年前から実現を望んでいた企画だという。
歌手の直観も素晴らしいが、こういう閃きは何か不思議な引力で現実化してしまうものなのだろう。
オーケストラ・アンサンブル金沢メンバーと指揮のニルス・ムース氏、
シテ方宝生流の渡邉荀之助さん、笛、太鼓、地謡の皆さんが舞台に乗った。

ところで本編が始まる前に、中嶋さんと渡邉さんによるプレ・トークがあり
作品の背景と能についてのわかりやすい解説がなされた。
このプレ・トークはシェークベルクの子息であるローレンス・シェーンベルク氏によるリクエストで
シェーンベルク作品を「難解ではなく理解可能なものとして浸透させる」ことを遺族は望んでいるという。
アドルノの有名な「新音楽の哲学」によると、「二人のS」のシェーンベルクは、
もうひとりのSの男ストラヴィンスキーがあらゆる方策を講じて音楽における「調」をのさばらせたのに対し、孤高の道を選んだ英雄であり、
シェーンベルクこそが20世紀に相応しい作曲家だという。
(後にバーンスタインは、このアドルノの説に注意深く反論した)
しかし、シェーンベルク自身は、孤高のナルシストでも調性の自殺者でもなく
大衆と「つながる」ことを求めていたのかも知れない。ただしロマン派的な方法以外で。

そこで、作品に対する現代的な「読み」が必要になる。シェーンベルクと能をくっつけることは
作品を神秘的にすることが目的ではなく、わかりやすく「翻訳する」ことだったのでは?
それは、このプロジェクトにおいては、直観に直観をぶつけて新しい次元を作るという離れ業だった。
そんなアクロバットを可能にしたのは「月」であったと思う。
アルベール・ジローの詩に魅了されて、21の断章に曲をつけたシェーンベルクは
曖昧でミステリアスで、それでいて豊穣な「月の力」に何かを感じていたはずなのだ。
その妖艶なもやもやが、「夢幻能」として演じられることで、際立った。
現在能と夢幻能の違いは、後者のシテが「死者」であり、冥土からこの世を見る存在であるということ。
超自然な神や鬼といったものを、主役は演じる。
空間を埋め尽くすのは中嶋さんの「声」なのだが、「気配」そのものは渡邉さんのほうが濃い。
プロジェクターには、大きな満月、鎌のような弓月、踊る字幕などが幻想的に映し出される。
会場もほとんど青い月の光に満たされていて、いつものすみだトリフォニーとは全く違う表情だった。

月とは太陽の意識に対して、無意識の世界。理性では制御できぬものの象徴であり、
男性性に対する女性性、狂気、あるいは西洋の知に対する東洋の「X」的なるものである。
能の演目にも、井戸に反射する月の影を見て、この世ならざる境地に運ばれていくという
ストーリーがあるという。
シェーンベルクの冒険とは、恐らくそうした魍魎とした「魔」とつながることでもあった。
はかなきもの、かそけきものを表すための詩学が、前衛と呼ばれる形式だったのかも知れない
なんてことをふつふつと考えていた。

シェーンベルクの譜面には、音符の上に「×」印が書かれており、歌わずその音域で語るとう指定があるという。
ほとんど叫びに近いソプラノも同じ作品で聴いたことがあるが、中嶋さんは声楽的に美しい表情豊かな声で、
ドイツ語の発声も自然で、何より「詩」を感じさせた。白地に朧月夜の空を染ませたような
グレーのピエロの衣装もいい。発声は安定しているのだが、旋律(?)そのものは玉虫色の世界で
地謡の男声の「黄泉の国からの声」と、不思議と調和している。
あの美輪さんの独特のヴィヴラートにも、そうした効果があるのかもしれないが、
能の発声は風格のレベルが違う。時間が円環状になり、死者と生者の世界を丸呑みにして
ひとまとめにしてしまうような威力がある。

オーケストラアンサンブル金沢のメンバーによる演奏はこの玄妙な世界を支え
繊細でマージナルな音楽を気品あるものに仕上げていた。
「月に憑かれたピエロ」は書かれてから100年を迎えるというが、20世紀初頭とは
フェノロサが記した能楽論がエズラ・パウンドの手にわたり、その翻訳を読んだイエーツによって
大々的にヨーロッパに紹介された。偉大な神秘の芸術にヨーロッパは驚嘆し
日本は憧れの国となったのだ。

上演時間は約1時間であったはずだが、とても独特な伸縮感をもつ「能時間」であり
「シェーンベルク時間」だった。
このプロダクション、ウィーンの観客にも是非見て欲しい。

奥深く鋭い感想力のお持ちな小田島さんのコメントです。これからもツイッターで楽しませていただきま〜す。ウィーンに持って行きたいと公演後にオーストリア大使が言っていました!そうなるよう努力します。

ツイッターでは多くの方がつぶやいてくださっています。例えば堀本剛右さんは、

私にとって難解だった『月に憑かれたピエロ』を日本の能楽とのコラボレーションに依りより身近なものにして下さった中嶋さんの閃きと試みに敬意を表します。

評論家・東条碩夫氏のブログ 「東条碩夫のコンサート日記 にも彼らしいシャープなコメントを頂いております。http://concertdiary.blog118.fc2.com/blog-entry-1544.html

会場には多くの学生達も参加してくださっていましたね。芸大、早稲田大、慶応大の皆さんありがとうございました。学生でいる間は間違えを何回もして許される時期だと私は思います。成功は失敗の元!イマジネーションを大きく膨らませ、将来いろんなチャレンジをして人生を過ごして欲しいです。

それでは長くなりましたが、これでブログも終わりです・・・私の次の企画はNHKニューイヤーオペラコンサート。元旦3日のテレビ生中継です。それまでにはピエロからオペレッタディーバに変身して月から舞い戻ってきます!

それでは良いクリスマスをお過ごしください。ありがとうございました!auf wiedersehen

中嶋彰子

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2012年12月 3日 (月)

中嶋彰子の金沢便り

初雪が既に訪れた金沢に到着。稽古、舞台の仕込みが着々と進んでいます。

12月1日の土曜日には高岡市でプレトークが開かれました。

参加者の皆さんに「お能に詳しい方、手をあげてくださ〜い」と言ったらほら、こんなに手が上がりました!高岡市は文化人が多いんですね。

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シェーンブルクと同じ時代に生きたレハール。彼の代表作メリーウィドーから「ヴィリアの歌」の一部も聞いていただきました・・・レハールはオケ譜を書き出すのが面倒だと、この超有名なオペレッタの楽譜をシェーンベルクに書き出すよう頼んだそうです。

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マエストロ・ムースは歩く辞書とも呼ばれる音楽歴史学者で、海外の音大でも引っ張りだこです。この企画に関しての思いは熱く、会場の皆さんにもシェーンベルクの時代背景、シェーンブルクとは誰?などの説明を分かりやすくユーモラスに語りました。

Pierrot_25jpg
ピアニストの斉藤雅昭さんは、ウィーン音大を最優秀で卒業したエリート。彼の先生はシェーンベルクの専門家です。その彼に着いて厳しく習った技術について語ってくれました。
Pierrot_50jpg
そしてプレトークのパートナー、渡邊荀之助先生です。先生とシテの歌い方とオペラ歌手の技術の違いについて話し合いました。そして今回の舞台作についての感想なども話していただきました。一言一言に深みのある、優しさ、情熱を感じさせられ、私は益々先生のファンになりました。
Pierrot_59jpg
今日は衣装の相談や、お面をつけての稽古も行われ、現地テレビ局や新聞記者の姿も観客席に見えました。明日は舞台稽古最終日!私はちょっと興奮気味で今晩は眠れなさそうです。
先週はカーニバルカンパニーと言う音楽団体が2004年にピエロの公演をなさったと言う新たな発見がありました。早速その企画プロデューサーでいらっしゃる、しおみえりこさんとお話しました。ヨネヤマ・ママコのパントマイムとの演出をなさったそうです 。きっと素晴らしいコラボだったのだと思います。
Carnival_compay_2
ピエロ、お月様をタイトルにした表現は様々で、面白いなあと思います。
以下は1885年、Adolphe Willetteがスケッチしたカートゥーンです。5番の「ショパンのワルツ」にぴったりなイラストです!
Adolphe_willette_cartoon_of_pierrot
シェーンベルクはウィーンの国立図書館でも調べましたが、ピエロや月に関しての絵は描いていません。残念。
映画ではmoonstruckつまり「月に憑かれた」と言う映画が80年代にシェアとニコラス・ケージでヒットしました。内容もムードも正反対ですが、たまにはこんなキッチなロマンスもいいですよね。今晩はこの映画を見て気を休めようかしら・・・
Chermoonstruck
それでは皆様、長らくお付き合いいただきありがとうございました。私のお便りはこれで終わりになります。夢にまで見たこの企画がここまで来たんだという実感はまだ押さえて、あさっての初日に向けて精神統一します。
是非公演会場でお会いしましょう!
中嶋彰子

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2012年11月26日 (月)

中嶋彰子のウィーン(東京)便り9 

さあ、今週水曜日に照明、舞台監督、映像、演出家による最終的な会議が行われ、厳密なプランが立てられます。考えに考え抜いた字幕と映像の合体、そしてその舞台効果とソリスト2人が遊ぶ表現法は観てからのお楽しみに!

さてこれは何でしょう?そうです。映像を映し出すスクリーンの実験第一号です。今までに色々なチャレンジをしてきています・・・舞台監督の中村さん、照明の松本さん、お疲れ様〜!

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そして以下は映像クリエーターの高岡真也さん。真也さんとはウィーンと東京間でのスカイプ会議はもちろん、先週も長時間案を練り、今繊密な仕上げをなさっています。
彼から、ちらりとコメントです。
映像も衣装も当日まで御見せできませんが、以下は衣装担当のお二人です。日曜日に浅草のスタジオで合わせがありました。舞台衣装を長年お作りになっているお二人と今日初めて仕事をしたとは思えないほどの信頼感の中、私のイメージしていた物がどんどん立体化していき、感動のあまり、肌をだして何時間も居たのを忘れ、今日はちょっと風邪気味です・・・トホホ。
黒川敬子さんと戸川和枝さんです。
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東京でのスタッフミーティングの後は指揮者、ピアニストがウィーンから集まり、シテの渡邊先生、笛の松田先生などと参加が膨らみ、毎日舞台稽古、音楽稽古を重ねて行きます。コンセプトは頭に完成したので、それをどう現実化するかが私のこれからのテーマです。
さて、今日はそのコンセプトの要素になった様々な記録をヴィジュアルで御伝えします。
最初の空想はこんな空間で生まれました・・・いかにも無調な音楽が浮かんできそうな空間でしょう?
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東京と西洋の美の融合:
色々な表現がありますね。ジャポニズムが大流行したシェーンベルクの生きていた時代、クリムトもジャポニズムに憧れた画家の一人と言うのは有名ですね。ヴァン・ゴッホもそうでした。ちょっと野暮ったい感じかしら??:ー
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繊細な融合となると私はどうしてもこの方を思います:ー

セルジュ・ルタンスと資生堂

Photo

ネットでこんな事が書かれていました:ー

「私は完全主義者で美に飢えた人間なんです」

 エルテは母親の香水瓶で着せかえ人形遊びをしていたが、貧しい家庭に育ったルタンスは、それがワインコルク栓だった。コルク栓に顔を描いたり、服を着せたり。

「今でも私はコルク栓と遊んでいるのと、心は同じ。現実の世界で何が起こっているかなど、まったく関心がなかった。あるものに魅せられて見つめていると、私自身がそのものになっていた。木を見つめると木に、火を見つめると火になる。私自身であったときのほうが少ないくらいだ。女性を見つめても同じ。私が女性化するのではなく、私自身が彼女と同化してしまう。茫然自失となってしまう。病的か詩的か知らないが、こんな自分を背負って何かをするというのが大事なんだ」

パラドックスが混じり合う今回の舞台作品を演出していて、ルタンスのそんな気持ちが良く分かる様な気がします。資生堂のこだわりの美、大好きです。

ファッショナブルなジャンルで思うと、10年前、ちょうどこの企画の発想が誕生した頃、国際家庭画報が新発売となり、Moon over Japanと言うテーマで多くの事を勉強させてもらいました。当時の編集長とも長々お話を聴かせていただき、日本の文化、習慣がお月様と切っても切れない縁がある事を学びました。

家庭画報 International Edition<br />
・月愛でる国
・墨の仕事―篠田桃紅
・コンテンポラリー・アニメ
・癒しの宿
ほか

まだまだ一杯書きたい事がありますが、今日はこの辺で。
風邪を治します!!!!!!
皆さんもご自愛してくださいね。
中嶋彰子

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2012年11月19日 (月)

中嶋彰子のウィーン便り8

ウィーン便り8号にようこそ!最近めっきり寒さが深まったウィーンですが、日本もそろそろ手袋が欲しい時期に入ったと聞きました。風邪がはやる時期なので皆さん健康管理しましょうね!

 

さて、今回はシューンベルクに関してネットで見つけた情報をお伝えいたします。

 

まずはメゾソプラノ/アルパの池山由香さんのお許しを頂いて、由香さんのオフィシャル・ブログ「パンダに憑かれた池山」からのコメントをご覧ください。

 

ちなみに池山さんの話しているこの授業の先生は数年前第九で共演させていただいたメゾの加納悦子さん!、色々ご縁は繋がるものですね〜。


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パンダに憑かれた池山


テーマ:
 
昨日の授業の話。


ドイツ語歌曲演習?のような
授業にもぐりました。いや聴講しました。


この日のテーマは
作曲家「A.シェーンベルク」でした。

Florence Homolka

1874年~1951年に生きた
オーストリアの作曲家です。




音楽と言えば
アルパでいうところのFメジャーとかGメジャーとかの
「調性」が必ずついているけれど


シェーンベルクは
調性が無い
「無調」の世界に入りこんでしまって


十二音技法」という、

ド、ド♯、レ、レ♯、ミ、ファ、ファ♯、ソ、ソ♯、ラ、ラ♯、シの12音を均等に使う、

ドレミファソラシドって何だったっけ?みたいな
音の列を作ってしまったすごい人です。




私もかつて受験生だった頃
悶々としすぎて

シェーンベルクなどの現代音楽に
傾倒した時代がありました。



特にシェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」
メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」は
よく聴きました。



今思えば、
若さによるかっこつけだったかもしれないけど、

あれはあれで
戦争史が知れたり
ソルフェージュ能力が上がったり

聴くと良いものです。






それで、

先生が取り上げてくださったのは

「Erhebung(高揚)」
「Ghasel(ガゼール)」
それと
連作歌曲「Pierrot Lunaire(月に憑かれたピエロ)Op.21」より
「Der Kranke Mond(病める月)」

でした。




授業中、
「ガゼール」の詩をみんなで
先生に続いて朗読しました。


(□_□)先生「Ich halte dich in meinem Arm,(僕は君を腕に抱く、)」

(゚∀゚)生徒「Ich halte dich in meinem Arm,(僕は君を腕に抱く、)」


(□_□)先生「du hältst die Rose zart,(君は柔らかいバラを内包し)」

(゚∀゚)生徒「du hältst die Rose zart,(君は柔らかいバラを内包し)」


(□_□)先生「Vielen Dank!(どうもありがとう!)」

(゚∀゚)生徒「Vielen Dank!(どうもありがとう!)」


(□_□)先生「そんなこと書いてません」

(゚∀゚)生徒一同「え…ざわざわ」





「Vielen Dank」とは
ドイツ語で「どうもありがとう」の意味で

先生は、それまで授業で
ピアノを弾いてくれていたピアニストさんが
朗読中に退室したので

ドイツ語でお礼を言ったのですが


それを詩の一部と信じ込んでしまった生徒たちが

先生に続いて
真似して言ってしまったのです!!(笑)

なんて素直な私たち・・・



この時、
先生のレベルの高さに
聴講して良かったと心から思いました。





それから、
月に憑かれたピエロ体験をしました。

楽譜はこんな感じ


上の段はフルート、
下の段は語り。

音符の下に「×」みたいなのが書いてあるのは
なんとなくこれくらいの音程で「語る」
みたいな意味のようです。

でもリズムと強弱記号は必ず守るべし。

ドイツ語のイントネーションと
音符のリズムがぴったし合っております。




高い音程で「語る」ということで

下手したら
爆笑ものになりそうなのですが

素直な我々は
本気で語りました。


こんな感じ



楽譜の最後は

音符の「×」の上に更にウネウネ。

ということで語るし声を揺らす感じ?
いや、トリルをつけた歌声を語りにする感じ?

我々は本気で語って揺らしました。

楽しかったです。

※実際に演奏する際はちゃんと研究して下さいネ




そういえば夏木マリさんが日本語版を演奏していた気がします。

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なるほど、ではまたネットに戻り、前回NHKニューイヤーオペラコンサートでご一緒させていただいたばかりの、大尊敬している夏木マリさんのピエロとの関係を探ってみると・・・


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夏木マリさん

 

投稿日: 2003/05/26

 

夜、恒例のN饗アワーをみていたら夏木マリさん登場。
「センとちひろの神隠し」ではゆや婆と銭婆をやっていたかただとか。
その後ショパンの後、マイケル・ナイマンとの写真でびっくりしているうちに、
こんどはシェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」のナレーションもやったとか。
これもびっくりしているうちにさらにすごいことに。
なんと「ピエロ」もやったとかで、すげーな、と思ってみていたら、今度は
デーメルの詩「浄められた夜」を朗読してくれるという。さらにその後はクリヴュヌ
さんによるN饗の演奏。

 

しかも、その後は一同、シェーンベルクに肯定的な評価をしたのが驚いた。
いつもは難しいだの、不協和音だの、12音だとかいわれていたのに、
そういうのなしだった。池辺さんもこの曲好きなんですよ、とかいってるし。
むしろ純粋音楽から離れたコンテキストだったからかもしれない。
意外な路線でシェーンベルクが好意的にとりあげられ、驚いた次第。
アクセスログを見ているとやはりN饗アワー後に検索して私のページに
入ってきた方が結構いますね。
夏木マリさん:ホームページを見てもとても多彩な方のよう。
今後もますますの活動を願ってます。名古屋に公演にこないかしらん。
夏木マリさんのホームページ

 

http://www.marinatsuki.com/

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と言った事で私もびっくりしました。わたしも冒険好きな歌手で、宮崎音楽祭でマエストロ・デュトワの指揮で「7つの大罪」を歌わせていただいたり、分離派の音楽だけ演奏するアンサンブルをウィーンで作ったり今回のシェーンベルクの企画を10年も暖めたり、でも大スターもワイルやシェーンベルクを選ぶんだ~と嬉しくなってしまいました・・・夏木さ~ん、今度舞台一緒にしたいな~。

その他ネットで調べた面白い事は以下の通りです。


■シェーンベルク(作曲家)


「音楽は、なにかを表現する芸術だという考え方は、一般に認められている。しかし、チェスはお話を語らないし、数学は感情を呼び起こさない。これと同じように、純美学的な見地からいえば、音楽は音楽以外のものを表現しないのである。しかし、心理学的な立場から見れば、われわれの知的、感情的連想の能力には限度というものはなく、むしろ、そうした連想を拒絶する能力のほうに限りがある。したがって、どんな平凡なものでも音楽的連想を呼び覚ますことができ、また反対に、音楽は、音楽以外の事物との連想を呼び起こすことが出来るのである」

シェーンベルク著: 「作曲の基礎技法」より


1955年に行われた「月に憑かれたピエロ」の和訳にも関わった武満徹の考えかかたに強く共感します・・・

■武満 徹(作曲家)

「自然なものを大事に・・・人間も自然の一部でやっぱり自然・・・自然というよりも、宇宙だよね。もっと宇宙的な仕組み、システムを本来のものに、元々の姿にしとかないと。音楽なんかをやるっていうのは、結局、そういうコスミックなシステムっていうのを恐れる、敬う、尊敬するっていうことだと思うんですよ。まあ、そこまで僕の音楽はいってないけど。その一つの形、形式、音楽はその一つの形。イマジナリーな自然だ」

マリオ・A著: 「カメラの前のモノローグ」より


個性派で作曲家、演出家なんでもやっちゃう天才ポップスターがケント・ナガノと「月に憑かれたピエロ」を3ヶ月かけて準備した後のコメントは・・・


■ビョーク(アイスランド人ポップ歌手)

“It was an amazing experience for me,” she recalled. “The songs left so much to the imagination of the singer―you know, they were originally written for a cabaret singer or an untrained singer like me. Kent Nagano wanted to make a recording of it, but I really felt that I would be invading the territory of people who sing this for a lifetime.” - Björk

(The New Yorker Aug 23 2004)



それではまた次回まで~!

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中嶋彰子のウィーン便り7

こんにちは。今回のお便りでは2007年にアルノルト・シェーンベルクの子孫、ヌリア、ローランド、ローレンス3人兄弟と指揮者、ニルス・ムースと私との独占インタビューの一部をご紹介します:ー

ロサンゼルスにあったアルノルト・シェーンベルクの仕事部屋は今ウィーンのセンターにそっくりそのまま移されています。5線を一気に書くために5本の鉛筆を束ねた小道具、移調が一目で分かるグラフ、手帳、鉛筆立てなどシェーンベルクのかわいらしい?手作りの小道具が机に当時のまま残されている博物館の前で、「インテリでシリアな印象ばかりが残されていますけど、それは彼のイメージをそうする事で宣伝効果を考えた出版社のアイデアで、実際は庭の草刈りをして汗をかいたり、私たちと遊んだり、良いお父さんだったんですよ〜」と語る3人兄弟です。ではその博物館の前での会話をご覧ください。

2007年に既に夢幻能「月に憑かれたピエロ」の計画が始まり、多くの親友の応援により能楽堂での舞台稽古を試みました。次のクリップはそのリハーサルの様子です。

リハーサルの様子をウィーンに持ち帰り、3人兄弟に見てもらいました。するとその評価は・・・

このビデオはウィーンのカメラマン、角田晃二さん、アシスタントの立川雅子さんの作品から抜粋したものです。お二人の暖かい応援の御陰でこのインタビューも実行できました。夢にまで見たこの企画を今年実行できる事はこのお二人、またおおくの方々の御陰です。心から感謝しております!

中嶋彰子

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2012年11月 4日 (日)

中嶋彰子ウィーン便り6

こんにちわ!今回のお便りでは、どんな音楽家がどのように「月に憑かれたピエロ」を演奏しているかについてお話したいと思います。

今年は世界中のいろんな場所で公演が行われていますが、ウィーンのアルノルト・シェーンベルク・センターで行われたメルリン・アンサンブル・ウィーンとシルヴィー・ローラーの場合、歌手はごく簡単な衣装と小道具を使った小さな会場での公演でした。指揮者無しだったので、この難しい音楽の演奏にやや無理があったのが残念でしたが、このアンサンブルは100年前の10月16日に初演されたベルリンのChoralion-Saalという会場で、別の歌手と演出を入れた公演もしたそうなので、見てみたかったな〜。

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・・・ちなみにシェーンベルクが指揮をした初演では、歌手はコロンビーナのドレス姿で、演技をかねて歌ったそうです。舞台に乗ったアンサンブルは、黒いカーテンを閉めた後ろで演奏と言うスタイルだったそうですが、オペラ歌手の様な張りのある声でない場合、アンサンブルとのバランスが大変難しいとシェーンベルクの専門家と言われる指揮者ブレーズもコメントを書いていますが、おそらくそう言う所からもカーテンを仕切って音のボリュームのバランスを取ったのではないかなと想像します。

ザルツブルグでは内田光子がピアノでリードした公演がありましたが、こちらではバルバラ・スコヴァという女優が歌っていました。ウィーンのコンツェルトハウスで同じ女優が公演していたので、指揮者のニルス・ムースとピアニストの斉藤雅昭と聴きに行きましたが、中ホールのキャパでマイク入りだったのがちょっと残念でした。

イタリア、ヴェニスでもフェニーチェ劇場で公演を行っていましたが、公演は時間が合わなくて残念ながら観ていません。イタリア人の歌手が頑張ってドイツ語で歌うのかと思ったら、リンダ・ヒルストというドイツ語の名前でした。こちらは指揮者も入っています。

演出家が入った様々な舞台表現もYoutubeなどで楽しめます。例えばクリスティーヌ・シェーファーの録画は相当な予算をかけて制作されていますし、同じようにモンティパイソンチックに作られたファンタジーたっぷりのナタリー・デセイの録画も面白かったです(Youtubeで観れたのですが、今は消されてしまっています)。有名人は他にバレエのルドルフ・ニュレイエフが1977年にピエロの格好で踊ったり、同じく70年代にグレン・グールドの奇妙なテンポの演奏もユニークな表現でありかなと思います。私が特に面白いなと思うのは、ケント・ナガノとBijörkが共演した事です。

100年前に初演を演じたアルベルティーナ・ツェーメはシェーンベルクと40回もリハーサルを重ねて舞台に立ったそうですが、アイスランド人のアヴァン・ポップス女王は3ヶ月勉強して1996年にVerbier音楽祭に登場したそうです。マエストロ・ナガノはかなり押したそうですが、Bijörkは頑として録音を断ったそうですが、1分くらいの音源が残っています。

http://lostsongs.bjorkish.net/pierrotlunaire/Bjork

以下のYoutubeもかなり凝ってます。

http://www.youtube.com/watch?v=y9jedArP0K8

Schoenberg Pierrot lunaire no. 8 Nacht (remix)

私が一番お勧めするのはJane Manningのデンマークの作曲家RasmussenとのLPです。ネットでは情報がないようですが、彼女の語り歌を聴いていると宙に浮いた気分になります!

長くなってしまいましたが、最後に、日本ではお能と重ねたこのシューンベルクの作曲公演は2度目となる事を発見しました!1955年12月5日に実験工房Experimental Workshopという美術家と音楽家からなるグループ(聞いた事がないのですが、ウィーンの分離派グループ、セセッションのような団体でしょうか?)が武智鉄二演出のもと、関西歌劇の歌手・浜田洋子、能楽師の観世寿夫、狂言師の野村万作が出演したそうです。この上演は日本語で行われ、訳詞は武満徹も協力し、苦心を重ねたそうです!日本語のピエロ・・・どんな公演だったのかしら?

ウィーンは初雪の後、雪はすっかり溶けましたが、ひんやりと寒くなりました。皆様もお風邪などひかないようお元気でお過ごしください。それではまた来週〜!

中嶋彰子公式Twitterも始めました。

https://twitter.com/nakajima_akiko

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2012年10月29日 (月)

中嶋彰子のウィーン便り5

皆様こんにちは!中嶋彰子です。

前回の記事ではご意見ありがとうございました。
月つながりで面白いお話がまだまだたくさんあるんですね!
皆様からのご意見からまた新たな発見がある、本当にブログを企画して
良かったと思う一瞬です。
ウィーンは昨日初雪が降ったそうです!日曜日の午前3時から冬時間にもなりました。ですので日本との時差は8時間になります。
私は今、実はウィーンではなく、南チロルのメラーノという所にいて、リアルタイムなウィーンの初雪というのは見ていないのですが、先日からこっそりと始めたTwitterで初雪のツイートをこちらで読んで驚いていた所です。
こちらがTwitterのアカウントです。お気軽にフォローなさってくださいね!
さて、今回のウィーン便りですが、私がウィーンにいないので携帯から更新しかできませんので、数日前に7月のリハーサルの動画を他のメンバーが紹介してくれていましたので、その時の写真をいくつかご紹介させていただきます。
またウィーンに戻りましたら更新しますので、ご了承ください。
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凛々しい渡邊先生
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ピエロの楽譜もとっても難しいですけど、これも私にはとっても難しいです。
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指揮者のニルス・ムースと曲中にお能が入る部分を相談します。
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指揮者と決めたアイディアを今度はお能の方達に説明
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実際に通してみて、もう一度皆で確認します
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今回はただ単に「月に憑かれたピエロ」を上演するのではなく、
お能を曲の中に大胆に入れこんでの全く新しい試みですので、
両者のコミュニケーションがとても大事なのです。
たった今、ウィーンから雪が屋根に積もっているとの連絡がありました。
みなさん風邪などひかぬようお気をつけ下さい。
それではまた。

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2012年10月21日 (日)

中嶋彰子のウィーン便り4

皆様こんにちわ!中嶋彰子です。

早いもので、既にウィーン便りの4号となりました。

ウィーンではピアニストの斉藤雅昭さんと指揮のニルス・ムースと私で毎週火曜日と週末に音合わせの練習が開始されました。ニルスと私はコペンハーゲンや大阪いずみホールでもこの大作をコンサート形式で公演していますが、舞台作として演奏するのは初めて。第一回目の3人の音合わせは1幕を分析して行いましたが2時間があっという間に過ぎてしまいました。



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写真に写っているピアノの斉藤さんはウィーン国立音大を最優秀で卒業し、今ウィーンの私立音大でオーストリア人歌手とピアニストに西洋音楽を教えてらっしゃる、超不思議な日本人ピアニストなのですが、今回の企画に関してコメントを頂きました:ー

今回は中嶋彰子さんの「月に憑かれたピエロ&夢幻能」に参加する機会をいただけて今からとても楽しみにしています。シェーンベルクというとなかなか演奏する機会がない作曲家の一人だと思うのですが、僕の母校ウィーン国立音楽大学の卒業試験にはシェーンベルク、ベルク、ウェーベルンの三人のうちどれかの作品を必ずプログラムに入れなければいけないという決まりがあり、卒業生はこの三人の作品のどれかは必ず弾いています。学生当時は無調の曲なんて少々間違っても教授達にはわかるまいと安易に考えていましたが、シェーンベルクの一番易しい6つのピアノ小品をレッスンに持っていったときにこてんぱんにやられました。音符の長さ、細部にわたるシェーンベルクの指示、響きのバランス、とにかく細かいのです。

お師匠さんは「CDではなくレコード時代に世界で最初にシェーンベルクのピアノ作品全曲レコーディングしたのは僕なんだよ」とニヒルな笑みを浮かべて話されてました。このレッスンが僕とシェーンベルクとの出会いでした。

無調の現代曲というと他の作品に比べてどうしても譜読みの時点で音符を追うのが大変で、計算し尽くされた音楽、そして演奏者の表現という当たり前のことを見失いがちですが、今回は彰子さんの歌、演出、そしてお能も加わり壮大なテーマが背景に見えるのでとても楽しくリハーサルさせていただいています。

能とシェーンベルク?とお話をいただいた時には全くこの二つの異なるものが融合するなど想像もできませんでしたが、渡邊先生を交えた東京でのリハーサルでようやく点と点が線で結ばれました。意表をついた斬新な企画です。塩スイーツやアイスクリーム用の醤油が日本で売られていましたが、まさにそんな感じです笑。こんなに融合できるものなの?と思ってしまう不思議な感覚。

12月にみなさんとその「不思議な感覚」を共有できたら嬉しいです。

斉藤さんありがとうございます。日本人でいながらウィーン人な彼の音楽表現がこのジャポニズムに大変影響を受けているウィーンの音楽にさらにシャープなバランスを与えてくれています。これからどう発展して行くか本当に楽しみです!

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さて、一般の方々もおそらく、「え?シューンベルクって作曲家はあまり知らないな~。」とか「お能は苦手」、「観た事ない」など様々だと思うのですが、ではウィーン在住の日本人音楽家達はどう思うか、先週集まっていただいた仲間達にコメントを頂きました。同時に今回の企画は月夜のお話ですので、月に魅力を感じるタイプか、燃える太陽が好きなタイプかどちらかも尋ねてみました:ー

まずは最近音楽家としても人間的にも益々魅力的な、日本を代表する若手ヴァイオリニストの三浦文彰さんからのメッセージです。

先日、彰子さんのお家でおいしいディナーをご馳走になったうちの一人の三浦文彰です。シェーンベルグは今まで自分とはあまり関わりがなく、あまりコメントはしづらいのですが「浄夜」という弦楽六重奏曲は何度か聴いたことがあります。まあ僕の第一印象は、なんじゃこれ~という感じの半音階だらけの不思議な音楽だったのですが、この曲はデーメルの詩に基づいた男女の月の下での会話が題材になっているのでそれを知ってて聴くとまた違うのだと思います。

お能は僕が中学生の時に、校外学習で観に行ったことがあります。
最初、サボろうとしてしまいましたがそうもいかず観に行ってみると日本の伝統を肌で感じることができ、とても感動しました。
月と太陽どっちが好きかと言われると最初は、太陽!ってすぐ答えちゃいそうになりますが、月もロマンティックでいいですよね。
ちなみにショスタコーヴィチも月が似合う作曲家だと思います。真っ暗闇にほんのわずかの希望の光が...みたいな音楽をたくさんかいている人ですから。
というわけで、美しくチャーミングで楽しくて、素晴らしい音楽家の彰子さんによるこの新鮮な企画は素晴らしいものになること間違いなし! 


ありがとうございます!今年の国内の公演はDVDの録画も用意されていて、再来年頃には海外公演企画を考えているので、その時は三浦さん是非アンサンブルに参加してね~!

次はソプラノの鈴木愛美さんです。国立音楽大学・大学院修了。新国立劇場オペラ研修所7期生修了。08年文化庁新進芸術家海外研修員としてミラノに留学。10年よりロームミュージックファンデーションの助成を受けウィーンで研鑽中の彼女です:ー


シェーンベルクの音楽とお能の融合、画期的で大変興味深い舞台ですね!

私一個人の感想ですが・・シェーンベルクというと、自由なリズム、不協和音、調性のない音楽の時代を作っていった人のイメージがあります。

この曲を聞くと、お能やコンテンポラリーダンス、創作ダンスなど、身体で表現する芸術ともとてもマッチしそうで、歌と共にピエロの心情をより幅広く表現を可能にできるのかなぁ!と感じました。(コンテンポラリーを踊ったことがあり、そう感じるのかもしれません。。)
ちなみに太陽と月だったら、満ち欠けしない太陽の方が好きです^^。


元気一杯の愛美さんらしいコメントですね。ありがとうございます!


では次はもう一人のソプラノ、森野美咲さんです。東京藝術大学卒業、ウィーン国立音楽大学修士課程 在学中の彼女です:ー


シェーンベルクは20世紀に新しいクラシックの世界を作ろうとした人、お能は古くから守られて来た伝統芸能。お能は恥ずかしながら実際に見た事はないです。

新世界と伝統、全く違う2つの芸術なのに
Sprechstimmeのように似た所がありそうなので
(お能ってSprechstimmeみたいに聞こえませんか?)
そのあたりがどんな風に一つの作品として融合してゆくのか
とても楽しみです。

月か太陽

月が好き!神秘的でどこか妖しい、魔笛やルサルカのイメージもありますが月が出て来ると必ずそこに美しい女性がいる気がします。彰子さんのような♥

あぁ、書いていたら本当に行きたくてたまらなくなりました・・・。
ウィーンで聞けないのが残念です。
ご盛会をお祈りしています^^


ブログをお読みになった皆さんはどうお考えですか?

何かコメントがあったら是非かき寄せてください。

喜んでお返事させていただきます。

長くなりましたが、今回はこの辺で!ごきげんよう~

中嶋彰子

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2012年10月15日 (月)

中嶋彰子のウィーン便り3

みなさん、お元気ですか?中嶋彰子です。

今週はウィーン在住日本人若手音楽家を家にお呼びしてホームパーティーをしました。
今回ピエロで一緒に演奏するピアニストの斉藤雅昭さんがお昼から買い出し、
料理と手伝ってくれてビーフカレー、キノコカレーの二種類、タコとキュウリ、アボカドのサラダ、そしてデザートにはスポンジケーキを細かく切ってイチゴと生クリーム、アイスを添えたものを作ってくださいました。
まずは近所の市場で買い物。
元気のよいおばちゃんが野菜を売っています。
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サラダ用の野菜を選んでいます。
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家に戻り、斉藤さんと一緒にお料理。
彼は料理が趣味と自分で言ってるほど料理が好きな男性で、
あっという間にカレーを二種類
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サラダは写真を撮るのを忘れてしまいましたが、デザートも全て彼の手作り!
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最近は料理が得意な男性が日本でも多いようですが、特に音楽家は料理好きが多い気がします。斉藤さんプロデュースのお料理、お客様にとっても好評でした。
パーティーも終わりに近づき、みんなでピエロのチラシと共にチーズ!
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(本日のシェフはカメラマンもしてくださって集合写真に写っていません笑)
異国の地での日本人仲間の集いもたまには良いですね!
今週は他の日に月に憑かれたピエロの解説などをアップする予定なので、
私のウィーン便りは少しプライベートな事を書かせていただきました。
それでは、みなさん良い週明けを!

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2012年10月 8日 (月)

中嶋彰子のウィーン便り2

みなさん、お元気ですか?中嶋彰子です。先日10月6日にウィーン市内の大イベント「Lange Nacht der Museen夜の美術館めぐり」を楽しんできました。

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毎年10月になると行われるこの夜のイベントは、夕方18時から夜中の1時までオーストリア中の美術館・博物館(参加館650以上)が1つのチケットで入り放題というとってもうれしいイベントなんです。
その特別イベントの1つだったアルノルド・シューンベルク・センターで行われた「月に憑かれたピエロ」の100周年記念公演を観に行きました。
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10月16日は100年前「ピエロ」が初演された誕生日なのですが、ベルリンではウィーンのメルリンアンサンブルが、17日にはベルリンフィルのメンバー達がウィーンコンツェルトハウスで公演します。内田光子もこの100周年を祝いザルツブルグで公演を行ったそうです。そのDVDも販売しています。
アルノルド・シューンベルク・センターの館長とメルリンアンサンブルのリーダーマルティン・ヴァラックさんとの独占インタビューをゲットしたので、次のアップをお楽しみに!
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