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2012年11月19日 (月)

中嶋彰子のウィーン便り8

ウィーン便り8号にようこそ!最近めっきり寒さが深まったウィーンですが、日本もそろそろ手袋が欲しい時期に入ったと聞きました。風邪がはやる時期なので皆さん健康管理しましょうね!

 

さて、今回はシューンベルクに関してネットで見つけた情報をお伝えいたします。

 

まずはメゾソプラノ/アルパの池山由香さんのお許しを頂いて、由香さんのオフィシャル・ブログ「パンダに憑かれた池山」からのコメントをご覧ください。

 

ちなみに池山さんの話しているこの授業の先生は数年前第九で共演させていただいたメゾの加納悦子さん!、色々ご縁は繋がるものですね〜。


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パンダに憑かれた池山


テーマ:
 
昨日の授業の話。


ドイツ語歌曲演習?のような
授業にもぐりました。いや聴講しました。


この日のテーマは
作曲家「A.シェーンベルク」でした。

Florence Homolka

1874年~1951年に生きた
オーストリアの作曲家です。




音楽と言えば
アルパでいうところのFメジャーとかGメジャーとかの
「調性」が必ずついているけれど


シェーンベルクは
調性が無い
「無調」の世界に入りこんでしまって


十二音技法」という、

ド、ド♯、レ、レ♯、ミ、ファ、ファ♯、ソ、ソ♯、ラ、ラ♯、シの12音を均等に使う、

ドレミファソラシドって何だったっけ?みたいな
音の列を作ってしまったすごい人です。




私もかつて受験生だった頃
悶々としすぎて

シェーンベルクなどの現代音楽に
傾倒した時代がありました。



特にシェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」
メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」は
よく聴きました。



今思えば、
若さによるかっこつけだったかもしれないけど、

あれはあれで
戦争史が知れたり
ソルフェージュ能力が上がったり

聴くと良いものです。






それで、

先生が取り上げてくださったのは

「Erhebung(高揚)」
「Ghasel(ガゼール)」
それと
連作歌曲「Pierrot Lunaire(月に憑かれたピエロ)Op.21」より
「Der Kranke Mond(病める月)」

でした。




授業中、
「ガゼール」の詩をみんなで
先生に続いて朗読しました。


(□_□)先生「Ich halte dich in meinem Arm,(僕は君を腕に抱く、)」

(゚∀゚)生徒「Ich halte dich in meinem Arm,(僕は君を腕に抱く、)」


(□_□)先生「du hältst die Rose zart,(君は柔らかいバラを内包し)」

(゚∀゚)生徒「du hältst die Rose zart,(君は柔らかいバラを内包し)」


(□_□)先生「Vielen Dank!(どうもありがとう!)」

(゚∀゚)生徒「Vielen Dank!(どうもありがとう!)」


(□_□)先生「そんなこと書いてません」

(゚∀゚)生徒一同「え…ざわざわ」





「Vielen Dank」とは
ドイツ語で「どうもありがとう」の意味で

先生は、それまで授業で
ピアノを弾いてくれていたピアニストさんが
朗読中に退室したので

ドイツ語でお礼を言ったのですが


それを詩の一部と信じ込んでしまった生徒たちが

先生に続いて
真似して言ってしまったのです!!(笑)

なんて素直な私たち・・・



この時、
先生のレベルの高さに
聴講して良かったと心から思いました。





それから、
月に憑かれたピエロ体験をしました。

楽譜はこんな感じ


上の段はフルート、
下の段は語り。

音符の下に「×」みたいなのが書いてあるのは
なんとなくこれくらいの音程で「語る」
みたいな意味のようです。

でもリズムと強弱記号は必ず守るべし。

ドイツ語のイントネーションと
音符のリズムがぴったし合っております。




高い音程で「語る」ということで

下手したら
爆笑ものになりそうなのですが

素直な我々は
本気で語りました。


こんな感じ



楽譜の最後は

音符の「×」の上に更にウネウネ。

ということで語るし声を揺らす感じ?
いや、トリルをつけた歌声を語りにする感じ?

我々は本気で語って揺らしました。

楽しかったです。

※実際に演奏する際はちゃんと研究して下さいネ




そういえば夏木マリさんが日本語版を演奏していた気がします。

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なるほど、ではまたネットに戻り、前回NHKニューイヤーオペラコンサートでご一緒させていただいたばかりの、大尊敬している夏木マリさんのピエロとの関係を探ってみると・・・


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夏木マリさん

 

投稿日: 2003/05/26

 

夜、恒例のN饗アワーをみていたら夏木マリさん登場。
「センとちひろの神隠し」ではゆや婆と銭婆をやっていたかただとか。
その後ショパンの後、マイケル・ナイマンとの写真でびっくりしているうちに、
こんどはシェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」のナレーションもやったとか。
これもびっくりしているうちにさらにすごいことに。
なんと「ピエロ」もやったとかで、すげーな、と思ってみていたら、今度は
デーメルの詩「浄められた夜」を朗読してくれるという。さらにその後はクリヴュヌ
さんによるN饗の演奏。

 

しかも、その後は一同、シェーンベルクに肯定的な評価をしたのが驚いた。
いつもは難しいだの、不協和音だの、12音だとかいわれていたのに、
そういうのなしだった。池辺さんもこの曲好きなんですよ、とかいってるし。
むしろ純粋音楽から離れたコンテキストだったからかもしれない。
意外な路線でシェーンベルクが好意的にとりあげられ、驚いた次第。
アクセスログを見ているとやはりN饗アワー後に検索して私のページに
入ってきた方が結構いますね。
夏木マリさん:ホームページを見てもとても多彩な方のよう。
今後もますますの活動を願ってます。名古屋に公演にこないかしらん。
夏木マリさんのホームページ

 

http://www.marinatsuki.com/

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と言った事で私もびっくりしました。わたしも冒険好きな歌手で、宮崎音楽祭でマエストロ・デュトワの指揮で「7つの大罪」を歌わせていただいたり、分離派の音楽だけ演奏するアンサンブルをウィーンで作ったり今回のシェーンベルクの企画を10年も暖めたり、でも大スターもワイルやシェーンベルクを選ぶんだ~と嬉しくなってしまいました・・・夏木さ~ん、今度舞台一緒にしたいな~。

その他ネットで調べた面白い事は以下の通りです。


■シェーンベルク(作曲家)


「音楽は、なにかを表現する芸術だという考え方は、一般に認められている。しかし、チェスはお話を語らないし、数学は感情を呼び起こさない。これと同じように、純美学的な見地からいえば、音楽は音楽以外のものを表現しないのである。しかし、心理学的な立場から見れば、われわれの知的、感情的連想の能力には限度というものはなく、むしろ、そうした連想を拒絶する能力のほうに限りがある。したがって、どんな平凡なものでも音楽的連想を呼び覚ますことができ、また反対に、音楽は、音楽以外の事物との連想を呼び起こすことが出来るのである」

シェーンベルク著: 「作曲の基礎技法」より


1955年に行われた「月に憑かれたピエロ」の和訳にも関わった武満徹の考えかかたに強く共感します・・・

■武満 徹(作曲家)

「自然なものを大事に・・・人間も自然の一部でやっぱり自然・・・自然というよりも、宇宙だよね。もっと宇宙的な仕組み、システムを本来のものに、元々の姿にしとかないと。音楽なんかをやるっていうのは、結局、そういうコスミックなシステムっていうのを恐れる、敬う、尊敬するっていうことだと思うんですよ。まあ、そこまで僕の音楽はいってないけど。その一つの形、形式、音楽はその一つの形。イマジナリーな自然だ」

マリオ・A著: 「カメラの前のモノローグ」より


個性派で作曲家、演出家なんでもやっちゃう天才ポップスターがケント・ナガノと「月に憑かれたピエロ」を3ヶ月かけて準備した後のコメントは・・・


■ビョーク(アイスランド人ポップ歌手)

“It was an amazing experience for me,” she recalled. “The songs left so much to the imagination of the singer―you know, they were originally written for a cabaret singer or an untrained singer like me. Kent Nagano wanted to make a recording of it, but I really felt that I would be invading the territory of people who sing this for a lifetime.” - Björk

(The New Yorker Aug 23 2004)



それではまた次回まで~!

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