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2012年10月21日 (日)

中嶋彰子のウィーン便り4

皆様こんにちわ!中嶋彰子です。

早いもので、既にウィーン便りの4号となりました。

ウィーンではピアニストの斉藤雅昭さんと指揮のニルス・ムースと私で毎週火曜日と週末に音合わせの練習が開始されました。ニルスと私はコペンハーゲンや大阪いずみホールでもこの大作をコンサート形式で公演していますが、舞台作として演奏するのは初めて。第一回目の3人の音合わせは1幕を分析して行いましたが2時間があっという間に過ぎてしまいました。



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写真に写っているピアノの斉藤さんはウィーン国立音大を最優秀で卒業し、今ウィーンの私立音大でオーストリア人歌手とピアニストに西洋音楽を教えてらっしゃる、超不思議な日本人ピアニストなのですが、今回の企画に関してコメントを頂きました:ー

今回は中嶋彰子さんの「月に憑かれたピエロ&夢幻能」に参加する機会をいただけて今からとても楽しみにしています。シェーンベルクというとなかなか演奏する機会がない作曲家の一人だと思うのですが、僕の母校ウィーン国立音楽大学の卒業試験にはシェーンベルク、ベルク、ウェーベルンの三人のうちどれかの作品を必ずプログラムに入れなければいけないという決まりがあり、卒業生はこの三人の作品のどれかは必ず弾いています。学生当時は無調の曲なんて少々間違っても教授達にはわかるまいと安易に考えていましたが、シェーンベルクの一番易しい6つのピアノ小品をレッスンに持っていったときにこてんぱんにやられました。音符の長さ、細部にわたるシェーンベルクの指示、響きのバランス、とにかく細かいのです。

お師匠さんは「CDではなくレコード時代に世界で最初にシェーンベルクのピアノ作品全曲レコーディングしたのは僕なんだよ」とニヒルな笑みを浮かべて話されてました。このレッスンが僕とシェーンベルクとの出会いでした。

無調の現代曲というと他の作品に比べてどうしても譜読みの時点で音符を追うのが大変で、計算し尽くされた音楽、そして演奏者の表現という当たり前のことを見失いがちですが、今回は彰子さんの歌、演出、そしてお能も加わり壮大なテーマが背景に見えるのでとても楽しくリハーサルさせていただいています。

能とシェーンベルク?とお話をいただいた時には全くこの二つの異なるものが融合するなど想像もできませんでしたが、渡邊先生を交えた東京でのリハーサルでようやく点と点が線で結ばれました。意表をついた斬新な企画です。塩スイーツやアイスクリーム用の醤油が日本で売られていましたが、まさにそんな感じです笑。こんなに融合できるものなの?と思ってしまう不思議な感覚。

12月にみなさんとその「不思議な感覚」を共有できたら嬉しいです。

斉藤さんありがとうございます。日本人でいながらウィーン人な彼の音楽表現がこのジャポニズムに大変影響を受けているウィーンの音楽にさらにシャープなバランスを与えてくれています。これからどう発展して行くか本当に楽しみです!

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さて、一般の方々もおそらく、「え?シューンベルクって作曲家はあまり知らないな~。」とか「お能は苦手」、「観た事ない」など様々だと思うのですが、ではウィーン在住の日本人音楽家達はどう思うか、先週集まっていただいた仲間達にコメントを頂きました。同時に今回の企画は月夜のお話ですので、月に魅力を感じるタイプか、燃える太陽が好きなタイプかどちらかも尋ねてみました:ー

まずは最近音楽家としても人間的にも益々魅力的な、日本を代表する若手ヴァイオリニストの三浦文彰さんからのメッセージです。

先日、彰子さんのお家でおいしいディナーをご馳走になったうちの一人の三浦文彰です。シェーンベルグは今まで自分とはあまり関わりがなく、あまりコメントはしづらいのですが「浄夜」という弦楽六重奏曲は何度か聴いたことがあります。まあ僕の第一印象は、なんじゃこれ~という感じの半音階だらけの不思議な音楽だったのですが、この曲はデーメルの詩に基づいた男女の月の下での会話が題材になっているのでそれを知ってて聴くとまた違うのだと思います。

お能は僕が中学生の時に、校外学習で観に行ったことがあります。
最初、サボろうとしてしまいましたがそうもいかず観に行ってみると日本の伝統を肌で感じることができ、とても感動しました。
月と太陽どっちが好きかと言われると最初は、太陽!ってすぐ答えちゃいそうになりますが、月もロマンティックでいいですよね。
ちなみにショスタコーヴィチも月が似合う作曲家だと思います。真っ暗闇にほんのわずかの希望の光が...みたいな音楽をたくさんかいている人ですから。
というわけで、美しくチャーミングで楽しくて、素晴らしい音楽家の彰子さんによるこの新鮮な企画は素晴らしいものになること間違いなし! 


ありがとうございます!今年の国内の公演はDVDの録画も用意されていて、再来年頃には海外公演企画を考えているので、その時は三浦さん是非アンサンブルに参加してね~!

次はソプラノの鈴木愛美さんです。国立音楽大学・大学院修了。新国立劇場オペラ研修所7期生修了。08年文化庁新進芸術家海外研修員としてミラノに留学。10年よりロームミュージックファンデーションの助成を受けウィーンで研鑽中の彼女です:ー


シェーンベルクの音楽とお能の融合、画期的で大変興味深い舞台ですね!

私一個人の感想ですが・・シェーンベルクというと、自由なリズム、不協和音、調性のない音楽の時代を作っていった人のイメージがあります。

この曲を聞くと、お能やコンテンポラリーダンス、創作ダンスなど、身体で表現する芸術ともとてもマッチしそうで、歌と共にピエロの心情をより幅広く表現を可能にできるのかなぁ!と感じました。(コンテンポラリーを踊ったことがあり、そう感じるのかもしれません。。)
ちなみに太陽と月だったら、満ち欠けしない太陽の方が好きです^^。


元気一杯の愛美さんらしいコメントですね。ありがとうございます!


では次はもう一人のソプラノ、森野美咲さんです。東京藝術大学卒業、ウィーン国立音楽大学修士課程 在学中の彼女です:ー


シェーンベルクは20世紀に新しいクラシックの世界を作ろうとした人、お能は古くから守られて来た伝統芸能。お能は恥ずかしながら実際に見た事はないです。

新世界と伝統、全く違う2つの芸術なのに
Sprechstimmeのように似た所がありそうなので
(お能ってSprechstimmeみたいに聞こえませんか?)
そのあたりがどんな風に一つの作品として融合してゆくのか
とても楽しみです。

月か太陽

月が好き!神秘的でどこか妖しい、魔笛やルサルカのイメージもありますが月が出て来ると必ずそこに美しい女性がいる気がします。彰子さんのような♥

あぁ、書いていたら本当に行きたくてたまらなくなりました・・・。
ウィーンで聞けないのが残念です。
ご盛会をお祈りしています^^


ブログをお読みになった皆さんはどうお考えですか?

何かコメントがあったら是非かき寄せてください。

喜んでお返事させていただきます。

長くなりましたが、今回はこの辺で!ごきげんよう~

中嶋彰子

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コメント

東京公演を予約いたしました。
月曜日ということで月にちなんでますね(笑)
新鮮で意欲的なお能とのコラボ、どうなるか楽しみです。
シュプレッヒシュティンメって歌手の自由な想像力と個性が際立つので、演奏を聞くとそれぞれ違って聞こえるほどですね。
新ウィーン学派が現在でも学校の基本となっている
ことに伝統を感じました。

月の成り立ちですが、火星大ほどの隕石が地球に衝突したという説を裏付ける分析がニュースになっていました。
スケールの大きな話で驚いています。
月も太陽も宇宙の話は神秘的で大好きです。♪

投稿: ひろ | 2012年10月23日 (火) 10時01分

ひろ様

コメントありがとうございます。
「月」に因んで月曜日。
なるほどー、・・・気が付きませんでした(笑)。

月の成り立ちのお話も興味深いですね。
宇宙の話は物理学的なことでも、あまりに壮大で神秘的な香りがしますね。

中嶋さんの頭の中でもシェーンベルクの宇宙と、能の宇宙が互いに干渉しあっているようです。
それを、演出家として舞台上で現実化させます。
会議の度に様々なアイディアが湧き出しています。

ぜひお楽しみになさってください。

投稿: M | 2012年10月23日 (火) 16時35分

ご返事ありがとうございます。
予習をかねて久しぶりにシェーンベルクのことを調べてますが、ピエロの作曲のことも含めて、数字にこだわる人だそうですね。
念のため初演の1912年をウィキで調べてみたら、

1912年は、西暦(グレゴリオ暦)による、月曜日から始まる閏年。

・・・だそうですね。
やはり月にちなんでいるのが不思議です。

ストラヴィンスキーが初演の印象を評してビアズリー風と言った記憶があります。そのビアズリーを調べてみたら、ワイルドのサロメの挿絵について、ワイルドから、あまりに日本的、と言われたとのことで、ここで日本と繋がり面白いと思いました。

もう一歩進めるとお能に結び付くのかも知れませんね。

あとシェーンベルクは画家でもありますが、このピエロのイメージを彼がどう描いていたのかも興味あります。知識が足りないのでもしご教示いただけたら嬉しいです。

たぶんお能との接点には視覚的なこともあるような気がするのですが、そのあたりはどうでしょうか。
ポスターがあまりに素晴らしいので気になっています。

投稿: ひろ | 2012年10月24日 (水) 14時14分

ひろ様

コメントありがとうございます。

ビアズリー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%A2%E3%82%BA%E3%83%AA%E3%83%BC
ですか。

なるほど、『月に憑かれたピエロ』の世界がビアズリー調とはストラビンスキーさん、見事に表現されていますね。

日本とのつながりでいえば、ビアズリーさんも当時のヨーロッパを席巻していたジャポニズムの影響を受けていたのでしょうか。

一方、シェーンベルク画伯の作風は
http://masa-yamr.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/index.html
ですか。
ビアズリーさんとは作風はかなり違いますね。

シェーンベルクさん自身の、曲と絵の作風の違いを見比べるのも面白いかもしれません。


チラシのデザイン、お褒め頂きありがとうございます。
イラストレーターさん、デザイナーさん共に金沢の女性です。かなり力を込めて作っていただきました。

投稿: M | 2012年10月25日 (木) 10時31分

ひろ様、
コメントありがとうございます!
ビアズリーの描いたピエロから印象を受けた衣装を今回考えています。お便り6号では、「月に憑かれたピエロ」の様々な演奏方法や演奏者についてお話したく思っていますのでどうぞお楽しみに!

投稿: 中嶋彰子 | 2012年10月31日 (水) 21時52分

中嶋さま♪
はじめまして!コメントいただき大変嬉しいです
ビアズリーの描いた衣装をイメージされると伺い、ますます興味津々です
前の方の席にして良かったです(笑)

初演100年にかける意気込み感じました

調べたら2009年にも中嶋さまは演じてらっしゃるんですね
思い入れの深さが凄いです

投稿: ひろ | 2012年11月 3日 (土) 02時27分

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